飲食店の朝は、仕込みから始まります。
その合間に、業者が次々と届けにきます。 商品を受け取り、検品し、冷蔵庫に入れる。
そしてその都度、 紙の納品書が一枚、置かれていきます。
1日に届く納品書は、5枚から7枚。 業者ごとにフォーマットが違い、 サイズも、記載の仕方も、すべてバラバラです。
この光景は、 何十年も変わっていません。
電子化されていないのは、店の問題ではない
ここで誤解されがちなのは、 「飲食店がITに弱いから紙が残っている」 という見方です。
しかし実際には、 店側の問題ではありません。
業者側のシステムが、 そもそも電子化に対応していない。
多くの卸業者は、 自社の基幹システムから 紙の納品書を出力し、 それを配送と一緒に届ける、 という流れで長年やってきました。
電子データとして 納品情報を提供する仕組み自体が、 存在していないケースがほとんどです。
つまり、 紙が残っているのは、 届ける側の構造が 紙を前提に作られているからです。
その結果、店に「余計な仕事」が生まれている
届いた紙の納品書を、 店はどう処理しているか。
多くの店では、 スタッフが一枚一枚、 Excelに手入力しています。
業者名、商品名、数量、金額。 5〜7社分を、毎日。
これが、 飲食店が自ら行っている 「納品書の電子化」の実態です。
本来であれば、 最初から電子データとして届けば 発生しない作業です。
しかし、 業者側にその仕組みがない以上、 店が自分の手で変換するしかない。
本業だけでも手一杯の現場に、 もう一つ仕事が増えている。
紙を求める文化も、確かに存在する
一方で、 構造だけが原因ではない側面もあります。
電子データで納品情報を提供しても、 「紙でもほしい」 という声は、実際にあります。
手元に紙がある安心感。 目で見て確認できるという感覚。 長年そうしてきたという習慣。
これは、 ハンコ文化と似ているかもしれません。
合理性だけでは説明できない、 社会に深く根づいた慣習として 存在しています。
ただ、その慣習がコストになっている
紙の納品書が残り続けることで、
・店は毎日、手入力の作業に時間を取られ ・業者は印刷・配布のコストを負担し ・情報は分散したまま、集約されない
この循環は、 誰かが意図して作ったものではありません。
ただ、結果として、 現場の生産性を確実に下げています。
変わらないのは、変える手段がなかったから
飲食店も、業者も、 好んで非効率を選んでいるわけではありません。
変える手段が、 これまで存在しなかっただけです。
もし、
・すべての納品情報が一つに集約され ・紙が必要な場合にも対応でき ・店は一つの窓口だけを見ればいい
そういう環境があれば、 納品書を手入力する必要はなくなります。
私たちは、 この課題に対して一つの形を作りました。
まだ小さな取り組みですが、 実際に使っている現場からは、 一度この流れを経験すると 元には戻れない、という声をいただいています。
紙の納品書がなくなるかどうかは、 まだ分かりません。
ただ、 紙であることが前提だった時代は、 少しずつ終わりに近づいている。
そう感じています。

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