業務システムを提案すると、
「今のシステムを全部置き換えましょう」
という話になりがちです。
新しいシステムに一本化すれば、
データも整理され、
運用もシンプルになる。
理論上は、その通りです。
でも、
実際の卸の現場に入ると、
そんなに簡単ではありません。
今の仕組みにも、理由がある
長年使っている基幹システム。
インフォマート。
Excel。
FAX。
LINE。
電話。
外から見ると、
バラバラに見えます。
「なぜ一つにしないのか」
と思うかもしれません。
しかし、
それぞれが残っているのには理由があります。
その取引先がFAXしか使わない。
別の取引先はLINEが早い。
大手企業とはインフォマートでつながっている。
経理は今の基幹システムに慣れている。
一つひとつを見ると、
それなりに合理的です。
そして、明日の納品は止められない
一番大きいのは、
ここだと思います。
システムを入れ替えている間も、
注文は届きます。
朝になれば、
商品をそろえなければなりません。
トラックは出発します。
店は商品を待っています。
「今週はシステム移行なので納品できません」
とは言えません。
だから現場は、
多少不便でも、
動いている仕組みを変えることに慎重になります。
これはDXに消極的なのではなく、
事業を止めないための合理的な判断です。
ならば、全部変えなければいい
ここで、
私たちの考え方も変わりました。
最初から全部を統一しなくてもいい。
LINEはLINEのままでもいい。
FAXが残っていてもいい。
既存の基幹システムも、
すぐに捨てる必要はない。
ただ、
その間に発生している
人の手作業だけを減らす。
たとえば、
LINEで届いた注文を商品マスタに紐づけて、
今使っているシステムに取り込める形式で出す。
これだけでも、
業務は変わります。
DXの入口は、小さい方がいいこともある
大規模なシステム変更は、
予算も、
時間も、
社内調整も必要です。
それに対して、
「この作業だけ、まずなくしてみる」
なら始めやすい。
そして、
実際に楽になったことを確認してから、
次の範囲へ広げればいい。
私たちは、
こちらの方が現場では自然だと考えるようになりました。
新しいシステムを入れることが
DXの目的ではありません。
今の仕事を止めずに、
無理なく仕事を軽くしていくこと。
特に毎日止めることのできない業界では、
この考え方が重要なのではないでしょうか。

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